糖尿病専門外来とは、生活習慣病の中でも糖尿病を中心とした患者の診療を行う外来です。診療は日本糖尿病学会が認定した糖尿病専門医が行うため、予防から治療まで専門的な知識を持った医師の治療を受けることができます。
糖尿病専門医になるためには、まず内科か小児科で決められた研修を受け、それぞれの学会からの認定医や専門医の資格を取得した後、さらに糖尿病に関する研修を3年以上受けなければなりません。最後にレポートの提出と試験に合格することで、糖尿病専門医の資格を取得できます。合格率は約7割で比較的難しい資格だと言えるでしょう。
しかし、糖尿病専門医はその試験に合格して認定を受けられても、5年ごとに資格を更新しなければ、資格を維持することが出来ません。その更新には、糖尿病に関する学会や講演を受講したり、糖尿病患者への診療や指導の報告が必要で、資格の取得後も常に最新のスキルや情報を勉強し続けなければならないのです。
糖尿病専門外来では、例として次のような診療が行われます。まず血糖コントロールの状況を血糖測定やHbA1c測定で把握し、結果に合わせて食事や運動、インスリン自己注射などの指導を行います。他には、尿検査や心電図、眼底検査によって合併症の有無や進度について検査をしたり、管理栄養士による生活習慣に合わせた栄養指導や、病気について学ぶための糖尿病教室の実施も行います。このように、糖尿病専門医と看護師、薬剤師、栄養士などのスタッフが集まってチームとなり、糖尿病治療のスペシャリストとして患者の治療に取り組みます。
糖尿病患者が増えつつある近年、適切な患者支援やスタッフ教育を行う役割を担っているのが、糖尿病看護認定看護師と呼ばれるスペシャリストです。糖尿病看護認定看護師は、血糖値やフットケアといった自己管理についての指導を患者に行います。また、糖尿病予防のためのケアシステムを地域に構築することも役割です。
認定看護師として活躍するためには、専門の教育機関で規定の教育課程を修了し、日本看護協会による認定審査を受けることが必要です。そして何より、専門の教育機関に入学するには、その分野で通算3年以上働いたという看護経験を積む必要があります。糖尿病看護認定看護師を目指す場合に求められるのは、糖尿病患者の多い病棟もしくは外来に勤めた3年以上の看護実績です。また、インスリン療法中の糖尿病患者ないし合併症を持つ糖尿病患者の看護を過去に5例以上担当したという実績も必要となります。
病院勤務で必要な看護実績を積んでいる間は、糖尿病看護を学べる専門の教育機関を調べておく必要もあります。糖尿病看護認定看護師の教育課程を設けている教育機関は、全国にごくわずか。開講月や開講期間、定員さえも決まっています。年度によっては休講となる教育機関もあるので、特に開講場所については事前によく確認しておくことが大切です。
糖尿病看護認定看護師になると決めたら、職場の上司への報告も怠ってはいけません。専門の教育機関に通う間、勤務している病院を離れることは避けられないからです。通学中は研修扱いにしてくれるところや、学費の支援制度を設けている病院もあります。勤務する病院を選ぶ際は、認定看護師の資格サポートの有無についてもよく確認しておきましょう。